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精神分析的精神療法 と 分子整合医学 11

[2010.11.16]

うつ病患者が増えており、うつ病による経済的損失が甚大であることや、

自殺の危険が高いこと等から、メンタルヘルスが重要であると言われるようになり、

精神科医かかつてないほど注目されています。

製薬メーカーも新しい抗鬱薬を次々と発売しています。


しかし私は、うつ病は増えていない、と考えています。

正確に言うなら、抑うつ状態を呈する患者さんは確かに物凄い勢いで増えていますが、

内因性のうつ病の患者数は増えていない、と言う意味です。


内因性のうつ病というのが、本来の意味でのうつ病です。

教科書に書いてある通りの、うつ病は3カ月で治る、休養が大事、と言われるタイプのうつ病で、

古典的な治療、つまり薬の服用と休養で、2-3カ月で回復します。


抑うつ状態とは、例えばパーソナリテイ障害がある為に不適応を起こしている場合や

栄養障害から無気力状態に陥っている場合などの、一見するとうつ病と間違えてしまいそうな、

うつ病によく似た病態のことを言います。

これらは薬では改善しにくいので、薬物治療以外の治療アプローチが重要です。


しかし現実には、抑うつ状態の患者さんには、薬の効果が乏しいからと薬剤を増やしてしまいがちで

多剤併用となり易く、人によっては薬の服用で症状が増悪することすらあり、

教科書的なうつ病の治療では改善しにくいケースも少なくありません。

こういうケースまでうつ病として同じカテゴリーに入れてしまうので、うつ病が増えているように見えますが、

正確には、うつ病が増えているのではなく、抑うつ状態の患者さんが増えているのです。


うつ病対策に予算が付けられるようになったことは、精神症状で苦しむ方には助けになりますが、

このあたりのことを理解した上で対策を行っていかないと、効果的な改善は見込めないでしょう。














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