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非定型うつ病とオーソモレキュラー療法

[2010.10.14]

精神科医の先生方を対象とした講演会を開いて頂いて、非定型うつ病に関する私の考えをお話してきました。

若い人を中心に非定型うつ病が増えていて、薬が効きにくいと社会問題にさえなっており、
非定型うつ病の分類を試みられている精神医学者もいますが、
私は、非定型うつ病などというものは存在しない、と考えています。

一般に非定型うつ病と言われている症状は、栄養障害とパーソナリテイ障害の二つに大別することが出来ます。
それぞれの理論で説明が可能という話をしてきました。

若い人たちの炭水化物や菓子類などによる糖質に偏った食事に問題があり、
精神科的な治療をする前に、まず栄養障害を是正することが先決です。

背景に深刻なパーソナリテイ障害の「無いこと」が前提ですが、
みゆきクリニックを受診された抑うつ状態を呈する若い方の中には、
栄養指導と栄養素の補充だけで、薬を使わずに、休職もせずに、症状が改善されている方がいらっしゃいます

精神力動論的精神医学と分子整合医学の両方の視点を持つ精神科医は殆どいないので、
理解されにくく、見落とされがちなことですが、
非定型うつ病のために長期休職を余儀なくされている若い方たちが一人でも減るように、
これからも問題提起をしていきたいと思っています。

非定型うつ病なんて無い、と言う内容の私の講演を聞いて下さった精神科医の先生方は大分ショックを受けられた様でした。

有効な治療法が見つかりにくいと思われていた非定型うつ病が、ただのビタミンで治療できるなどと言う話は、荒唐無稽に思えるでしょうし、科学を学んだ医学者として、受け入れ難いものがあると言う気持ちもよく分かります。

 

身近にあって、さほど重要とも思っていなかったものが、実は大変な価値のあるものだった、
ということに気が付きにくいのは、青い鳥のお話が示す通りです。
人は身近にあるものの価値を、深く考えることなく、気にも止めずにいるのでしょう。

私自身、長年にわたり精神分析を一生懸命学んで参りましたが、
分子整合医学を
学び始める前までは、ビタミンの効用など考えることなく診療にあたっていました。


しかし実際にメガビタミン治療(オーソモレキュラー療法)、高濃度のサプリメントを患者さんに飲んで頂くと、
朝起き上がれない、一日中だるい、無気力でボーとする、
睡眠薬を飲んでも夜中に何度も目が覚めてしまう、夢ばかり見て眠った気がしない、
薬を飲んでいてもイライラしやすい、等々の症状が改善し、
きちんと朝起きて会社や学校へ行けるようになるのです。

最初は私もショックでした。いえ、誰よりもショックだったのは私自身かも知れない・・・。


オーソモレキュラー療法と出会う前、過去に治療にあたった患者さんたち、
なかなか症状が改善せず、その理由がどうしても分からないまま、
転居や転院をされて行かれた患者さんの顔が、何人か浮かびました・・・。

東大医学部間違いなしと言われながら統合失調症を発症し、やむなく夢を断念した、
将来を有望視されていた高校生、どんな薬も効きませんでした・・・。

 

非常に将来を嘱望され重要な仕事を任されていた最中にうつ病を発症し、一旦は改善したものの、症状が再発し、今は退職をして田舎に転居された某専門職にあった方・・・。

その他沢山の中・高校生、主婦、会社員の方々、お年寄り・・・。

私がもっと早く分子整合医学を学んでいたら、彼らを救えたかも知れない・・・。

 

人の心を治療するのには精神分析が最も有用だと思って学んで参りましたし、その信念に変わりはないのですが、
人の心は、生化学的な生体内の物質によっても
影響を受けるのだという事実は、衝撃でした。


分子整合医学をライナス・ポーリング博士と共に提唱し、実践した、カナダの精神科医エイブラム・ホッファー医師は、
医学会で激しく非難され追放されながらも、非常に高い治療効果を上げていたのです。

 

医療は、結果が全てです。
より侵襲の少ない方法で、より良い結果が得られれば、それが良い医療ということです。

ビタミンB群やビタミンCの治療効果を実感するうちに、私の受けた衝撃も次第に和らいできました。

右手に精神分析的・精神力動的理論を、 左手に分子整合医学に基づく生化学的な理論を、 
この二つを両手に、治療にあたっていこうと思います。

 

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