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どうやって病名をつけるのでしょう 5

[2010.10.29]

診断基準が生まれる前の精神科医には、名人芸の様なものがあって

患者さんが診察室のドアを開けて歩いてくる、ほんの数秒間の間に

大体の診断がついていなければ一人前ではない、とすら言われた程で、

そのような優れた直観力を持つ臨床医が、本当にいたのです。


呪い祈祷の類と同じように思われるかも知れませんが、そうではなく、

長年の臨床の修行と共に磨かれていく直感力です。

診断基準のない頃には、多くの医師は、そのような臨床感覚を磨こうと、

一生懸命努力してしたように思います。


診断基準という共通言語を持てたことは喜ばしいことですが、

それに頼り過ぎてしまうと、直観力のようなものを磨く土壌は損なわれてしまいます。


診断基準は更に改定を重ね、益々機械的なものになろうとしています。

診断基準に偏り過ぎた方向性を、修正しなければならない時期にきている

と思うのですが・・・。

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