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ネット情報に惑わされて

[2021.05.14]

ネットであるタレントさんが「お米を食べないと早く老化する」と言っていたので
一生懸命お米を食べています、とある患者さんが言出しました。

あまりの驚きに、一瞬、絶句しました。

この患者さんは、何年も通院している方で、食事の改善点等、何度も説明し、共有し、
数年にわたる治療で、糖質過多だった生活習慣を見直し、とても良くなり、改善してきていた患者さんです。

しかし、有名タレントさんの一言だけで、医師が提案する生活習慣や食事習慣が、
簡単に崩れ去ってしまう脆さを痛感しました。

お米を食べてはいけない、と言う意味ではありません。念の為。
人によっては、お米を食べた方が良い場合もあります。


患者さんによっては、糖質を取り過ぎると自律神経が乱れて情緒不安定になる方がいるので
その場合には糖質制限が必要になるのです。

ここで言う糖質制限は、炭水化物を減らす程度の、緩いものです。(砂糖は辞めて頂きますが)
芋類OK、羅漢果等もOKです。
何でもやり過ぎは、リスクを伴います。

この患者さんとは、緩い糖質制限について、ジョークを交えながら改めて話し合うことが出来て
栄養指導も再度行うこととし、事なきを得ました。


同様のことは他の場面でも、私の知らないところで起こっているのかも知れないですね。
タレントさんや名前の知られた人の一言で、影響を受ける人も多いのですから
タレントさんたちには、ご自分の影響力について少し慎重になって頂けたらなあ、と思います。

一方で、医師の説明は、殆ど患者さんに通じていないようです。
先日も、ある患者さんに、「先生から、何も説明を受けていない」と言われ、
衝撃と共に、無力感を感じる出来事がありました。

患者さんに良くなって頂きたい一心で、一生懸命説明しています。
この患者さんにも、何年にもわたり、タンパク質の重要性を説明してきたのですが、
「何も説明を聞かされていない」と言われてしまうと、
これまで説明に費やした時間とエネルギーは何だったんだ、と無力感を感じてしまいます。

時間とエネルギーをかけて説明しても、少しも通じていないとしたら・・・


精神科・メンタルヘルス科では、患者さんにとって都合の悪い話しをすることも多々あります。
しかし、多くの人は、自分に都合の悪い話しは、スルーしてしまい、なかなか伝わらないようです。
患者さんの期待することが現実的ではないことを説明すると、「怒られた」と反応する人もいます。

医師の説明をスルーしたり、聞こうとしない人の方が、「少しも改善していない」
とクレームを言われることが多いように思います。

説明を素直に聞いて下さる方は、やはり回復も早いですね。
結局、病を治す最良の治療者は、自分自身、ということなのでしょう。
主治医と良い信頼関係を築けるかどうかも含めて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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