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新型うつ病 Hさん

[2015.08.04]

20歳の大学生Hさんは、元々社交的で明るい方でしたが、次第に気分が塞ぎこむようになり、夜眠れない、昼間眠い、学校へ行くことも、人に会うことも億劫になり、サークル活動はこなせていましたが、朝起きて学校へいくことがどうしても出来ず、ネットで調べたところ「うつ病の疑いが強いので早く精神科を受診するように」と出てきて、うつ病であることを覚悟し、休学をするつもりでみゆきクリニックを受診されました。

初診の日、お話を伺ってみると、確かにうつ状態にあり、若い人に増えていると言われている、いわゆる「新型うつ病」の特徴をすべて備えています。
しかし、私は「新型うつ病」などという鬱病は存在しない、と考えています。

そこで更に詳しくお話を伺うことにしました。
この方は勉強にもサークル活動にも積極的で、毎日とても忙しくしていらして、親元を離れて一人暮らしだったのですが、忙しさにかまけて食事を作る時間を惜しんで毎日菓子パンやカップ麺で食事を済ませていたということでした。

さっそく血液検査をしてみますと、検査結果は全て正常値を示していましたが、分子整合医学の理解を応用して詳しく読み解いていくと、栄養状態にいろいろ問題があることが分りました。

最近の若い人に増えていると言われる「新型うつ病」の症状を呈していましたが、しかしHさんはうつ病ではない、と判断しました。
うつ病でないのなら、何だと判断したのでしょうか?
栄養障害です。

Hさんには、うつ病ではないことをお伝えし、栄養障害が考えられることを説明し、薬は必要ないこと、食事の改善と栄養素を補うサプリメントの服用をお勧めし、おそらく1~2か月程度で改善するだろうから休学の必要もないだろうと話しました。

丁度大学が休みの時期だったこともあり、休みの間ご実家の親元で過ごして頂くことにしましたところ、お母様がとても頑張って下さって、Hさんは毎日お母様と一緒に料理を作り、一人暮らしの下宿に戻っても簡単に作れそうな料理を教えてもらっていました。
この母娘の時間も、治療的にとても大きな意味があったと思います。

食事を改善すると同時に、その間もサプリメントの服用は続けて頂きました。
やがてHさんは見違えるように回復され、元来の明るく社交的な御自分を取り戻し、大学へ復帰されました。
治療は食事指導とサプリメントの処方だけで、薬は処方していません。
大学も休学しませんでした。
通院期間も2カ月間だけで、完治しました。
サプリメントの服用は続けて頂いていますが、再発もありません。

もしHさんをうつ病と診断(誤診)して、薬での治療をしていたら、どうなっていたでしょう。症状が改善しないので薬を増やし、眠れないから睡眠薬も処方し、それでも改善しなから休学をする、ということになっていたかも知れません。そうなったら、Hさんの将来は、全然違ったものになっていたかも知れないのです。

Hさんはとても美しく聡明な、将来の楽しみなお嬢さんです。御両親にとっても自慢の娘さんなのでしょう。きっと将来日本の役にたってくれるような大人になってくれると思えるような若者です。その若い才能を、無用な投薬で損なうようなことはあってはならないと、医師としての良心として、心から思います。

Hさんの様に、うつ病の診断基準を全て満たしているような方を
積極的にうつ病ではないと診断するには、力動的なパーソナリテイ評価の理解が必要です。
そして治療には、分子整合医学的な理解が必要です。

力動論と、分子整合医学の両方の視点を持つ医師は、世界的に見ても殆どいないそうです。
分子整合医学のカリスマ医師 故エイブラム・ホッファー医師の息子さんも
力動論と分子整合医学の両方が出来る医師には、塙以外には会ったことが無い、
と仰っておられましたから・・・。

しかし、この2つの視点を持って臨床にあたることには、限りない可能性があると考えています。

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