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摂食障害

摂食障害をひとつの疾患として、一律に治療や病態を論じることは出来ません。

表に現れる症状は食行動における問題であり、一見同じ様に見えても、その背景にある病理は、心の風邪程度の軽い摂食障害から、命に関わるほど深刻な重篤な摂食障害まで、非情に幅の広い疾患です。これほど病理の幅広い疾患も無いと思われるほど、病理の深さには幅があります。

摂食障害が何歳頃始まったのか、過食だけか、拒食だけか、両方があるのか・・・。
嘔吐の有無、下剤の乱用の有無、家族の構成、家庭環境、兄弟の何番目か・・・。
パーソナリテイ障害を伴うのか、あるいは統合失調症等の精神疾患を伴うのか・・・。
あるいはいずれの障害もなく、過食だけがあるのか・・・。

「摂食障害」という独立した疾患があるというよりも、「摂食障害」という「症状」を持つ様々な病態がある、と考えた方が良いでしょう。

治療は、病因により様々です。他の精神疾患の症状として「摂食障害」が起こってきている場合には、まずは原因となっている疾患の治療をすることが必要です。

【目次】

  1. 統合失調症に伴う摂食障害
  2. パーソナリテイ障害に伴う摂食障害
  3. 子どもの摂食障害
  4. 中学生・高校生の摂食障害
  5. 大人になって発症する摂食障害

統合失調症に伴う摂食障害

統合失調症の方は、しばしば食べ物の中に毒が盛られているのではないかと思いこむことがあり、食べることを拒否する場合があり、拒食症と間違えられることがあります。この場合には、統合失調症の治療をします。詳しくは、統合失調症のページをご参照下さい。

パーソナリテイ障害に伴う摂食障害

摂食障害の中核群とも言うべき方々で、摂食障害の方の多くは、中学・高校生の時期に発症し、成人してパーソナリテイ障害と診断されることが多くあります。詳しくは、パーソナリテイ障害のページをご参照下さい。

子どもの摂食障害

子どもの摂食障害は、上記のいずれとも異なる理解が必要です。小さな子供さんの摂食障害は、愛着や早期の関係性の障害として捕らえると、治療の可能性が広がります。

子どもの摂食障害を放置すると、将来うつ病や不安障害、パーソナリテイ障害、統合失調症等に発展する恐れもありますので、早期に治療することが望まれます。

早期に適切な治療をすることで、将来起こりうる精神疾患の発症を予防することにもつながります。

乳幼児期・幼稚園・小学生の子供さんの摂食障害:早期関係性の障害

この時期の摂食障害は、主に拒食が中心となります。食べない、という行動を介して、母親や周囲との関係性の改善をはかろうと切望する、精一杯の子どもさんの側からの働きかけかも知れません。

例えば、ある子供は酷く傷つくことがあって、それを母親に訴えたいのだけれども、うまく言葉で表現できずに「お腹が痛い」と訴えたとします。母親はたいしたことではないと判断し、聞き流してしまいます。この時の母親の態度には責められるような問題は特になく、悪気もありませんが、しかし子供は訴えたかった「何か」を感じ取って貰えずに、心を無視されたと感じ、絶望的な気持ちになるかも知れません。

関係性の障害はこのように、予想もしなかいところで起こっている場合があります。このようなすれ違いは、大らかなお母さんと繊細な子供さんの組み合わせで起こるかも知れませんし、同じようなことは逆の組み合わせでも、起こるかも知れません。

関係性の障害は、誰かが悪いとか誰かに責任がある、ということではなく、誰も悪くなくても、起こりうる問題なのです。治療は、お母さんと子供さんの両方のカウンセリングを並行して行います。

乳幼児期のうつ病

小さな子どもは、大切な人(母親を始めとする周囲の大人達)を失ったり、一時的に引き離されたりした時に、お乳の飲みが悪くなったり、食べなくなったりします。「食べない」ということは、悲しみの表現でもあるのです。しかし乳幼児に抗うつ薬は使うべきではありません。

弟や妹が生まれて、母親の愛情を奪われたと感じていたり、失った環境を偲んで、食べなくなることもあります。

子どもの治療は、症状の背景にある問題に辿り着きやすいのでしっかりとしたプレイセラピーやカウンセリングが必要です。

「大きくなれば自然と良くなるだろう」と問題を先延ばしにしない

「大きくなれば自然と治るだろう」「環境が変われば良くなるだろう」と、しばしば周囲の大人たちは、問題を抱えた子供を前にして問題をたいしたことではないと見過ごしてしまいがちです。

母親が、心の奥深いどこかで「自分に問題があったのかも知れない」と御自分を責めている場合には、なおさら「たいしたことではない」と問題をなかったこととして、見ない様にしてしまいがちです。

「食べない」という行動を介して、子供さんはSOSを出しているのです。それを「たいしたことではない」「そのうち治るだろう」と軽く流してしまい、問題を先送りし、結果的に無視することは、子供にとっては精一杯のSOSさえ無視されてしまう、という傷つきにもつながります。お母さんと子供の早期の関係性障害を治療できる精神科の専門家が日本には本当に少数しかいないので、適切な対応の出来る医療機関が少ないのが、本当に残念です。

一例をあげましょう。

ある子どもは、ある日を境にまったく何も食べなくなりました。全く何も食べないので、心配した両親がみゆきクリニックへ連れてきました。

詳しく話を聞いてみると、弟が生まれてから、周囲の関心が弟に向いてしまいその子はまるで見捨てられたように感じていました。
「そうか、赤ちゃんになれば、みんなに大事にしてもらえるのかな」
赤ちゃんの体重になれば、自分も赤ちゃんになって、弟と同じように、皆に大事にされ注目して貰えると思った彼女は、その日から全く何も食べない決心をしたそうです。

私は彼女にこう伝えました。
「とても悲しいことだけど、人生は後戻り出来ないのよ。仮にあなたが赤ちゃんの体重になったとしても、あなたは赤ちゃんになることは出来ない」
子どもにもこのような解釈はよく伝わります。その子どもは、比較的短期間に回復しました。

専門家の少ない領域ということもありますが早期関係性の障害が見過ごされ、放置されてしまうことの多いのが非常に残念です。早い時期に適切な介入をすれば充分に改善出来る子どもたちが大勢います。

発達障害との関連

食行動に問題のある子供さんの中には、発達障害を伴う場合があります。一方、偏食による栄養状態の悪化は、発達障害の問題を複雑にします。

菓子ばかり食べている子どもが、栄養素のトラブルから行動障害を起こしているのに、  発達障害・自閉症スペクトラムと間違って診断されてしまう場合があります。医師ですら、栄養と子どもの行動障害との関連に、無頓着な人も多いのです。

発達に問題を感じたら、まず子どもの食べているものを見直してみましょう。

中学生・高校生の摂食障害

本来の意味の摂食障害は、中学生・高校生の頃に発症するものです。この時期に発症する摂食障害の方は、潜在的なパーソナリテイ障害を伴っていると考えられます。

中学生・高校生の思春期の時期と言うのは、普通であってもパーソナリテイ障害の様な問題を起こしやすい時期ですので、この年代でパーソナリテイ障害と積極的に診断をすることは控えなければなりません。しかし、この年代で摂食障害を発症する方は、適切な治療をしないまま成人した場合、後にパーソナリテイ障害と診断されることが多いようです。

中学生・高校生の摂食障害の発症には、親との葛藤が関係している

思春期の時期に発症する摂食障害の方は、大人になることへの葛藤、親との葛藤などが関係している、とも考えられています。しかし親との葛藤の無い人などいません。

親と子の関係性がうまく合わないまま思春期に入った、と言えるのかも知れません。

残念ながら摂食障害は、自然に治ることは殆どありません

中学・高校生の頃に発症した摂食障害は、放っておいて自然に良くなることは、殆どありません。中年期以降まで続くこともあり、病歴が長いほど治療は難しくなります。

治療開始は出来るだけ年齢の低い方が予後も良好

子供の頃は、まだ心の防衛が大人ほど強固ではないので、早い時期にしっかりと治療をすれば、かなりの改善が期待できます。パーソナリテイや防衛が固定してしまう大人になるほど、治療は長期間かかるようになります。早い時期に治療を開始されることをお勧めします。

大人になって発症する摂食障害 

一方、中学・高校生の頃には問題のなかった方で、30歳を過ぎて発症する摂食障害は、上記に書いた摂食障害のいずれのタイプとも異なります。

30代になって始まる摂食障害は主に過食が多いようですが、これはストレスによるものと、インシュリン抵抗性によるものと思われます。

ストレスからくる過食

ストレス解消に過食をする人が老若男女を問わず増えています。ストレスに対する耐性を強くすることが役に立つでしょう。

みゆきクリニックでは、ストレス耐性を改善したい場合のご相談も承っております。

インスリンの分泌過多からくる過食

甘いものを食べるとインシュリンが分泌にされ、一時的な低血糖を起こし、そのため再び炭水化物や甘い菓子類を渇望し、過食になります。

みゆきクリニックでは、管理栄養士が食事の改善を指導し、インシュリンの過剰分泌を抑える治療アプローチを行っています。詳しくは、オーソモレキュラー療法をご参照下さい。

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