ネット情報に惑わされないで
ネットであるタレントさんが「お米を食べないと早く老化する」
と言っていたので、一生懸命お米を食べています、とある患者さんが言っていたことがあります。
あまりの驚きに、一瞬、絶句しました。
この患者さんは、何年も通院している方で、食事の改善点など、何度も繰り返し説明して、共有し、
数年にわたる治療で、糖質過多だった生活習慣を見直し、とても良くなり、改善してきていた方です。
それが、有名タレントさんの一言だけで、医師と長年積み上げてきた
生活習慣や食事習慣の改善指導が、一瞬にして、いとも簡単に崩れ去ってしまう脆さを痛感しました。
お米を食べてはいけない、と言う意味ではありませんので、念の為。
患者さんによっては、糖質を取り過ぎると自律神経が乱れて情緒不安定になる方がいるので、
お米を始めとする炭水化物を制限することが必要になるのです。
ここで言う糖質制限とは、
砂糖はやめて頂きますが、炭水化物やイモ類は量を少なめにすればOK、 甘未は羅漢果を勧めています。
この患者さんとは、糖質制限について、ジョークを交えながら改めて話し合うことが出来て
栄養指導も再度行うこととし、事なきを得ました。
同様のことは他の場面でも、私の知らないところで起こっているのかも知れないですね。
タレントさんや名前の知られた人の一言で、影響を受ける人も多いのですから
タレントさんたちには、ご自分の影響力について少し慎重になって頂けたらなあ、と思います。
一方で、医師の説明は、殆ど患者さんに通じていないようです。
先日も、ある患者さんに、「先生から、何も説明を受けていない」と言われ、
衝撃と共に、無力感を感じる出来事がありました。
患者さんに良くなって頂きたい一心で、一生懸命説明しています。
この患者さんにも、何年にもわたり、タンパク質の重要性を説明してきたのですが・・・
患者さんに、時間とエネルギーをかけて説明しても、少しも通じていないことはたくさんあります。
栄養素の偏りがあると、理解力や記憶力が低下するので、
説明を聞いても理解できない、記憶できないので、それは仕方がないのですが・・・
「何も説明を聞かされていない」と怒る方も多いのですが、
これまで説明に費やした時間とエネルギーは何だったんだ、と本当にがっかりします。
せめて、「聞いたかも知れないけど、覚えてない」 と言ってくれたらなあ・・・
患者さんは、自分にとって都合の悪い話は、スルーしてしまうので、余計に伝わりにくいことがあります。
患者さんの期待することが現実的ではないことを説明すると、「怒られた」と反応する人もいます。
医師の説明をスルーしたり、聞こうとしない人の方が、
「少しも改善していない」とクレームを言われることが多いように思います。
説明を素直に聞いて下さる方は、やはり回復も早いですね。
結局、病を治す最良の治療者は、自分自身、ということなのでしょう。
主治医と良い信頼関係を築けるかどうかも含めて。