メニュー

子どもの治療 精神分析的精神療法と分子整合医学 12

[2024.10.30]

 

イギリスのBBC放送が、

アメリカでの精神科医療の特集番組を制作していましたので、興味深く見ました。

 

子どもたちに双極性感情障害やADHD、強迫性障害等、複数の病名が付けられ、

投薬治療が行われているというもので、最年少では6歳の子どもに投薬治療がなされていました。

 

以前、この欄で書いた診断基準に従って診断を付けていくと、

ひとりの人に複数の病名がつくのは珍しいことではないのですが、

 

日本よりはるかに数多くの精神分析医がいるはずのアメリカでの、その現状を見て、少なからずショックを受けました。

 

 

診断基準に従った診断だけで判断しようとすると、

たとえば、赤い洋服を着ているように見えたら「赤」

黄色い洋服を着ているように見えたら「黄色」とラベリングしていくようなものですので、

 

同じものが光の当たり方で赤に見えたり、黄色に見えたりしているわけですから、

色はどんどん増えてしまうでしょう。

 

表に見える色だけで判断して、子どもに複数の病名を付けて・・・

 

テレビで紹介されていた子どもたちは、それぞれ問題を抱えてはいるものの、充分に良い子たちなのに、

周囲の大人たちから理解されない子どもの孤独が伝わってくるようで、

 

痛々しささえ感じました。

 

日本でも、ADHDの子どもに薬を処方する医師がいますが、

 

私は原則として子どもには薬を処方しません。

 

問題行動を起こす子供は確かに増えていますが、子どもは、薬を使わずとも、高い治療可能性を秘めています。

 

大人なら改善に数年かかることも珍しくありませんが、

 

子どもは本当に短期間で驚くほどの改善を示すことがあり、治療効果が高く、

 

子供たちの改善をみることは、臨床家にとって、とても楽しみなことなのです。

 

 

 

 

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME