A氏 8
[2011.02.16]
それにしても、膝関節上からの両足義足を、妻にも分からないほど自然に振る舞うことが、
果たして可能なのでしょうか・・・。
にわかには信じられないことですが、
A氏は、日本海を泳いで渡って来たほど、屈強な身体の持ち主でした。
運動能力も相当高かったのでしょう。
もし、運動選手になっていたなら、オリンピックで世界記録を出すことも夢ではなかったかも知れないほど、高い運動能力だったろうと思われます。
そういうA氏だからこそ可能だったこととは思いますが、
両足の膝から上の義足であっても、自然な歩行が可能である、
という殆ど不可能と思われることを、A氏は自力で成し遂げ、身を持って示してくれたのでした。
一人黙々とリハビリを続け、自然な歩行を身に付け、
文字も読めないまま、言われたことをそのまま記憶し・・・
もしA氏がきちんとした教育を受け、後ろ盾もあったなら、ひとかどの人物になっていたことでしょう。
幾つになっても、運動の効果は確実に現れると私が自信を持って言えるのは
A氏のような実例を知っているからです。
運動やリハビリの限りない可能性を、A氏は教えてくれました。
忘れられない患者さんの一人です。