佐藤伸一東京大学大学院医学系研究科教授贈収賄事件の何故?
佐藤伸一東京大学大学院医学系研究科教授が贈収賄で1月24日に逮捕されたという事件が報道されましたね。
この事件に強い違和感を覚えた医療関係者は少なくないはず・・・
何故なら、国立大学の教員は言うに及ばず、私立大学の教員も、
企業からの接待には非常に慎重、
むしろ基本的には
「いかなる接待も受けない」
ことが通例となっているからです。
確かに、昔は企業からの接待は普通にありました。
学会出張時には、製薬企業が出張に必要なホテル代も飲食費も
全て負担してくれることもありましたし、
製薬会社の営業マンは、いかに医局に食い込んで、
医師と親しくなるかが重要な仕事になっており、
週末にはゴルフに同行する、
ということがごく普通に行われていました。
私の実家でも、製薬会社の営業マンが、よく庭の池の掃除に来ていました。
池のコイを一時避難させて、
池の水を抜いて、池の底をデッキブラシでごしごし綺麗にするという、
結構な重労働です。
次第に、そのようなことはいけないと言うことで、
全面的に禁止されていきます。
2000年代初頭には、接待こそなくなりましたが、
製薬企業がホテルの宴会場を借りて「勉強会」を開催し、
勉強会の後は懇親会として、立食パーテイを開く、
という形に変化していきました。
医師の方から製薬会社の担当営業マンに勉強会の開催を相談し
実施してもらうことも、度々ありました。
しかしその当時ですら、大学教授たちは、国立・私立を問わず、
立食パーテイに参加したら、私費で「会費」を支払って領収書をもらい、
領収書を大学に提出して、
「企業から接待を受けてはいない」ことを証明していたのです。
だったら立食パーテイに出席しなければ良いということではなくて
勉強会&立食パーテイには他大学の医師や研究者が出席していることも多く、
企業が医師を接待するという場と言う意味合いではなく、
情報交換の場として機能していたのです。
2000年代から次第に、勉強会&立食パーテイも禁止されるようになり、
企業と医師が親しくなるという機会はほぼなくなっています。
今ではむしろ、立場が逆転しています。
企業から講演会などの支援を受けようとすると、講演会の前に、
話す内容、使用するスライド等、全て事前に企業のチェックを受けなければならず、
内容には企業にとって有利な情報を盛り込むことが要求され、
企業にとって少しでも不利な資料は全て削除させられます。
私は講演内容にまで製薬企業に口を出されて医師の独自性が損なわれることが嫌なので、
今では講演会を主催するにしても、製薬企業の協賛は一切受けないようにしています。
今回の佐藤伸一東京大学大学院医学系研究科教授の贈収賄事件は
企業と医師が癒着しにくい風土の中で起こっているだけに
「何故?」と疑問に感じてしまうのです。
今回話題となっているカンナビノイドは大麻から麻薬成分を取り除いたもので、
日本では古来から大麻を薬、油、衣類として使用してきた歴史があります。
戦後GHQの指示で大麻の栽培が全面的に禁止されましたが
日本では不思議なことに大麻を麻薬として使用していた記録が少なく、
日用品として使用してきており、日本人の生活になくてはならないものでした。
痛み止めとしても、化粧品としても優れており
特にてんかんの治療薬として期待されているものです。
カンナビノイドの研究は高い有用性・汎用性からも、非常に価値の高いものです。
飲んでも良いし、肌に塗っても良いし、
カンナビノイドがもっと市場に出てきたら
困ってしまう製薬企業だって出てくるのではないかしらと思うくらい
非常に多岐にわたる効果があります。
しかも副作用はほぼありません。
今回の事件をきっかけにカンナビノイド使用にストップがかからないことを願います。
