健康になりたければ、お菓子を辞めよう!
スイーツが大流行、毎日のように、手軽にお菓子を食べるようになりました。
誰かのお宅を訪問する時の手土産としても手軽だし、出張や旅行に行けばご当地名物のお菓子を土産にしますよね。
保育園や学童でも、子ども同士、お友達との挨拶代わりに、お菓子の交換をしています。
コンビニで気軽にお菓子が買える時代になり、お菓子を食べない日はないほど。
でも、お菓子屋生計をたてている人には大変申し訳ないのですが、
健康や、医療費の増大という見方からすると、これはとても深刻な大問題です。
昔は砂糖は貴重品でしたので、お菓子は特別なときに食べる、特別なものでした。
人々が砂糖を簡単に手に入れることが出来るようになったのは、近代のことです。
人類が砂糖と付き合うようになったのはつい最近のことですので、人の身体は砂糖の処理に慣れていません。
菓子類は少ししか食べないから大丈夫と、思っていませんか?
あるいは、お菓子は食べません、と思っている方、本当に食べていないですか?
チョコレート1個、クッキー1枚、ちょっとつまんだ程度のチョコや飴は、食べた菓子として数えていない人、多いです。
お菓子を1つでも食べたら、砂糖を取りすぎていると考えて下さい。
甘いものを食べると、幸せな気持ちになりますね。
甘いものを食べると、インスリンが分泌され、トリプトファンの脳への輸送が増え、これがセロトニンに変換されます。
セロトニンは幸せホルモンと呼ばれています。
悲しい時に甘いものを食べたくなるのは、セロトニンを増やそうとしているのですね。
更に、甘いものを食べると急激に血糖値が上昇し、視床下部を刺激します。
視床下部は人が幸福感を感じる中枢ですので、甘いものを食べると視床下部が刺激されて幸せを感じるのです。
甘いものを食べて幸福を感じるのは、脳の誤作動とも言うべき、危険な満足感です。
菓子や料理に含まれる砂糖を食べて、急激に血糖値が上がると(高血糖)
身体は、今度は血糖を下げようとします。
視床下部は緊急指令の中央管理室にあたる中枢ですので、血糖値を下げるよう、即座に信号が送られ、
インシュリンが分泌されて、血糖値を下げようとします。
しかし、ちょうど良くインスリンが分泌される訳ではなく、
たいていの場合、インスリンが出過ぎてしまって、今度は急激に血糖値が下がりすぎてしまいます。(低血糖)
身体は、低血糖を生命の危機ととらえますので、下がりすぎた血糖値を上げようとして、
血糖値を上げよという緊急指令が出され、再び甘い物が食べたくなり、
抑えることのできない衝動として、甘いものを渇望することすらあります。
甘いものを食べる
→ 高血糖になる
→ 反応性低血糖になる
→ またまた甘い物を食べたくなる
→ これを繰り返す ・・・・・
血糖値の乱高下という悪循環を繰り返すことになります。
血糖値の乱高下は、脳にストレスを与え、自律神経も乱れます。
好ましくない食事のとり方も、低血糖を引き起こします。
朝ご飯を食べない、食事を抜いて長時間何も食べずにいると、低血糖が起こります。
低血糖は人の生命の維持に関わる深刻な緊急事態、と身体は捕らえますので
手が震え、冷や汗が出て、何とかして、即座に血糖値を上げようとします。
この症状は、パニック発作とよく似ています。
朝食を食べないで、慌てて電車に乗り、パニック発作を起こしたことはありませんか?
それはパニック発作ではなく、低血糖だったかも知れません。
朝食べるより、寝ていたい、と思う人、要注意です。
甘いものを食べて、高血糖→ 低血糖 を繰り返す悪循環に陥ると、やがてインシュリンが枯渇し、糖尿病に繋がります。
人の身体は自然と神が作った最高傑作と言えますが、
しかし自然も神も、はるか遠い昔には、人類が日常的に砂糖を食べるようになるとは想定していなかったのです。
砂糖の取り過ぎとインシュリンの関係は、人が期待するほどには精巧に作られていません。
長年にわたり砂糖を取りすぎると、糖尿病にかかりやすくなり、
糖尿病になると末梢循環に問題が起こり、腎臓の機能を悪くし、やがて透析が必要となることも少なくありません。
毎日のように菓子を食べる習慣は、
やがては、糖尿病、腎臓障害、人工透析へと問題を発展させていくことになりかねないのです。
砂糖の取り過ぎは、認知症や癌のリスクも高めるとも言われています。
脳は確かに糖をエネルギー源としていますが、多くの食材に糖質が含まれており、
お米や芋類等からも充分に糖質は取れています。
通常の食事、とくに1日3食きちんと食べていれば、糖が不足することはありません。
脳の為に、あるいは疲れたからと言って、砂糖をあえて摂取する必要はありません。
受験生の為に 砂糖たっぷりのものを勧めている人もいるようですが、とんでもないことです。
砂糖の取り過ぎは、ビタミンBを消費しますので、ビタミンB不足は脳機能の低下にもつながります。
甘いものを食べて勉強するのは、逆効果です。
糖尿病の患者さんが増え、透析治療を受ける方も増える一方ですが、
Ⅱ型糖尿病は、毎日のちょっとした工夫、食習慣で充分に防ぐことが出来ます。
「子どもを病気にしたい」と思って毎日子どもに甘いお菓子を与えている親はいないと思いますが、
子どもが喜ぶからと菓子を与え続けることは、子どもの健康を害する行動です。
最近はペットにも菓子を与える飼い主さんがいるようですが、これも動物の自然な生体の機能を害することです。
肉食動物にケーキを食べさせるなど、虐待と言ってもよいほどです。
今日から早速、お菓子を食べない、食べるとしたら誕生日やクリスマスなどの、特別な時だけにする
等、生活習慣を見直して下さい。
そうは言っても、子どもは、禁止すれば、お菓子を隠れて食べてしまいます。
お菓子を食べないような習慣を身につけるには、ちょっとした工夫も必要でしょう。
8歳になるR子との、ある日のやり取りをご紹介しましょう。
「R子ね、大人になったら美人になりたいの」
「もちろん、なれるわよ、誰よりも美人になるよ」
「どうやったら美人になれるのかなあ」
「うーん・・・、美人になるには、少しだけ、コツがあるんだ。出来るかな」
「えー、コツがあるの? やってみる どんな?」
「それはねえ、お菓子を食べないことなんだ」
「えー、お菓子を食べなければ美人になれるの?」
「うん、なれるよ」
「それだけでいいの?」
「それだけだよ」
「じゃあR子、もうお菓子、食べない」
そうはいっても、子どもはすぐにそんなことは忘れて、目の前にお菓子があれば食べたがりますが、
少なくとも無自覚にお菓子を食べ続けるようなことは、避けられるでしょう。
若いうちから砂糖を出来るだけ減らし、お菓子類を食べない習慣を身につけることはとても大切です。
食事に気を付け、定期的な運動を心がけていれば、
糖尿病や認知症になるリスクを下げ、健康な老後を迎えることにもつながります。
さらに、
糖分の摂取を控えることは、不安や憂鬱の改善にもとても重要です。
不安や憂鬱の原因は複雑で、簡単には特定できないのですが、
血糖値の急激な上昇と下降が精神症状を増悪させている、という側面もあります。
血糖値の上がり過ぎと下がり過ぎを小さくするような食事を工夫することで、
不安や憂鬱の症状はある程度軽くすることができます。
精神科や心療内科に通って治療を受けている方の中に、なかなか症状が良くならないので
薬が増える一方、と言う方がいらっしゃるかと思いますが、
砂糖を減らすだけで、菓子を食べないだけで、症状が少し改善できる場合がありますので、ぜひ試してみて下さい。
ただし、鬱病のメカニズムは複雑ですので、
決して砂糖を辞めればうつ病が良くなる、薬は不要、などと言っているのではありません。
しかし、少なくとも甘いものや炭水化物の取り過ぎを辞めるだけで、不安や鬱が1~2割程度良くなることは
充分に考えられます。
残念なことに、血糖値の急激な上昇と低下が、精神症状に影響を与えている、ということを認識しながら
治療に当たっている精神科医はまだまだ少ないので、あなたの主治医に相談しても、話しが通じないかも知れません。
主治医に理解されないままでも、ご自分で食習慣を改善することは出来ると思いますので、是非試してみて下さい。
そして気分が改善してきたら、主治医に相談して薬を減らしていってもらっては如何でしょう。
食習慣を改善するだけで、不安や憂鬱が幾らかでも改善し、薬を減らすことに繋がります。
とてもリーズナブルな治療法です。
さらに、認知症や糖尿病、癌のリスクまで下げるのですから、二重三重に医療費の削減に貢献することになります。
発達障害や自閉症スペクトラムと言われている子どもさんの中に、
お菓子や砂糖が原因で、キレやすかったり癇癪を起こしやすくなっているお子さんもいます。
子どものおやつにお菓子を与えることを辞めて、具だくさんのおにぎりや、タンパク質を用意してみましょう。
それだけで、ある程度、キレやすさが改善出来る可能性があります。