お茶会の催された日から間もなくの診察日、
お嫁さんはすこし上気した表情で、お茶会の様子を報告してくれました。
実に立派な堂々とした態度で、見事に大役を果たし、
所作の全てが整然として美しく、誰もE子さんがアルツハイマーであることに気がつかなかっただろう、
ということでした。
ホッとすると同時に、何とかやりおおせれば上出来と思っていただけに
予想外の好結果に、わたしも心底嬉しかったことを覚えています。
E子さんは、このお茶会を最後に重要な役割から降りられましたが、
最後に見事に花道を飾ったのです。
明治の女性の底力を見た思いがしました。
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