どうやって病名をつけるのでしょう 3
[2010.10.27]
診断基準に従って病名を付けていこうとすると
パーソナリテイ評価をしないまま診断名を付けることになりがちですので、
パーソナリテイ障害に伴う抑うつ状態であっても、
うつ病というカテゴリーに入れられることになります。
鬱病が増えていると言われる背景には
このような診断基準の利用も無関係ではなさそうです。
診断基準の利用により、分化差の様なものは無くなりましたが、
人間理解に基づく診断の奥行きの様なものは、失われていきました。
うつ病の治療薬は非常に進歩し、薬がよく効いて薬で治療できるようになりました。
しかし、残念なことにパーソナリテイ障害の方に良く効く薬というものは
まだありませんので、憂鬱な気分にたいして抗鬱薬を、不安に対しては抗不安薬をと、
対症療法的に薬を処方することになります。
もちろん薬である程度症状は改善するのですが、
薬の治療だけでは一定以上の改善が得られにくいのです。
パーソナリテイ障害の人をうつ病として治療していると、改善しないのは
薬の投与量が足りないのかと思ってしまい、薬を増やしてしまいがちで、
効果がないまま漫然と薬を投与し続けることになり、
効果が乏しいと薬が増え続けることが、問題となります。