非定型うつ病 治療法とオーソモレキュラー療法
精神科医の先生方を対象とした講演会で、非定型うつ病に関する私の考えをお話しした時のこと。
若い人を中心に非定型うつ病が増えていて、薬が効きにくいと社会問題にさえなっており、
非定型うつ病の分類を試みられている精神医学者もいますが、
私は、非定型うつ病などというものは存在しない、と考えています。
一般に非定型うつ病と言われている症状は、
栄養障害とパーソナリテイ障害の二つに大別することが出来ます。
それぞれの理論で説明が可能という話をしてきました。
表に現れる症状は同じでも、治療法が異なります。
炭水化物や菓子類など、糖質に偏った食事に問題があり、
精神科的な治療をする前に、まず食事習慣を改善することが必要です。
この場合、背景に深刻なパーソナリテイ障害の「無いこと」が前提ですが、
みゆきクリニックを受診された、うつ状態の若い患者さんたちは、
栄養指導と栄養素の補充だけで、薬を使わずに、休職もせずに、数か月で改善していきます。
精神力動論的精神医学と分子整合医学の両方の視点を持つ精神科医は殆どいないので、
理解されにくく、見落とされがちなことですが、
非定型うつ病のために、
長期間、会社を休んだり、
学校を休学したり、または学校を辞めてしまったり
そういう方が一人でも減って、
適切な治療を受けられるように、
問題提起をしていきたいと思っています。
非定型うつ病など、無い
と主張する私の講演を聞いてくださった精神科医の先生方は、大変ショックを受けられたようでした。
有効な治療方が無い
とされている非定型うつ病が、ただの食事の改善や、栄養素の補充で改善できるなど
科学を学んだ医学者として、受け入れ難いのでしょう。
私たちは、身近にあるもの、慣れ親しんだものを、身近にあるのが当たり前で、
それほど重要なものとは考えませんが
実は大変な価値のあるものだった、
ということに気づくのは、「青い鳥」のお話が示す通りです。
身近にあるものの価値を、深く考えることなく、気にも留めずにいるのでしょう。
私自身、長年にわたり、精神分析学を学んできましたが、
オーソモレキュラー療法・分子整合医学を学ぶまで、栄養素の重要性を、改めて考えることはありませんでした。
しかし実際にオーソモレキュラー療法・分子整合医学を実践してみると
朝起きれない、昼間だるい 、無気力でボーとしている、薬を飲んでもよく眠れない、朝から疲れて寝た気がしない
薬を飲んでいるのにイライラしやすい、集中できない、もの覚えが悪い、文字を読むのが苦痛
といった症状が改善し、きちんと朝起きれるようになり、
会社や学校にいけるようになる患者さんを、たくさん診ています。
最初は私も驚きました。
「え、こんなんで、治るの・・・?」
オーソモレキュラー療法・分子整合医学に出会う前に診ていた患者さんたち
なかなか良くならなくて、学校を辞めたり、転院していったりした患者さんの顔が、浮かびました。
東大医学部間違いないと言われていた優秀な高校生、統合失調症を発症し、やむなく夢を断念しました。
どんな薬も効きませんでした。
将来を嘱望されていた技術者の方、重要なプロジェクトの責任者になった最中にうつ病になり、
一旦は改善したものの、症状の再燃を繰り返し、退職して田舎に転居していきました。
その他、たくさんの中学生 、高校生、大学生、主婦、会社員の方々・・・
私がもっと早く、オーソモレキュラー療法・分子整合医学に出会っていれば、彼らの人生を救えたかも知れない・・・
人の心の治療に、精神分析が最も有用だと思って学んでいましたが、
人の心は生化学的な物質によっても影響を受けるのだと、当たり前と言えば当たり前の事実を前に、
衝撃を受けました。
オーソモレキュラー療法・分子整合医学を、ライナス・ポーリング博士と一緒に提唱し
カナダの精神医学会の会長まで務めた、エイブラム・ホッファー医師は、
医学界で激しく非難され、遂には学会を追放されたと聞きますが、オーソモレキュラー療法・分子整合医学により、
非常に高い治療効果を上げていたのです。医療は結果が全てです。
より侵襲の少ない治療法、より副作用のない治療法で、より良い結果が得られるなら、それが良い医療です。
栄養素の補充による高い治療効果を実感し続けるうちに、私の衝撃も次第にやわらいでいきました。
右手に精神分析的な力動論を
左手にオーソモレキュラー療法・分子整合医学を
この二つを手に、治療にあたっていこうと思います。