薬が効きにくいうつ病のことを、「難治性のうつ病」 非定型うつ病」等と呼んでいます。

多くの場合、背景にパーソナリティ障害があって、反応性に抑うつ状態になっている場合や
栄養障害があって、うつ状態になっている場合があり、
本態はうつ病なのではなく、パーソナリティ障害や栄養障害に伴う抑うつ なのです。

抑うつがあると、対症療法的に抗うつ薬が使われますが、
パーソナリティ障害に効果的な薬はありませんので、薬は当然のことながら余り効果がありません。

栄養障害から抑うつになっている場合には、薬が症状を悪化させることすらあります。

 

ある時、講演会で、非定型うつ病なんて無い、とお話したら、
「塙は薬は必要ないと思っているのか」とのご質問を頂きました。

 

決して薬が必要ない などと言っているのではありません。

お薬の治療だけで改善しているのなら、お薬だけで治療で十分です。

 

しかし、パーソナリティ障害に伴う抑うつや、
栄養障害から抑うつ状態を呈している場合には、
薬を幾ら増やしても効果が乏しいので、治療法を見直すことが重要なのです。

例えば、栄養障害から抑うつになっている方を、食事だけで改善させようとすると、

ほうれん草３ｋｇとか、肉１．５ｋｇ、イワシ35匹・・・

途方もない量を食べなければならないので、普通の食事ではとても賄いきれるものではなく、
効率よく栄養補給をする手段として、サプリメントを使った栄養素の補充を検討します。

 

パーソナリテイ障害　
特にナルシシスティックパーソナリテイ障害やシゾイドタイプのパーソナリテイ障害の方の治療は、

薬物治療だけだと、うまくいきません。

認知行動療法でもなかなか難しいです。

やはりパーソナリテイ障害の治療には、カウンセリング・精神分析的精神療法が必要になってきます。

 

みゆきクリニックでは、必要最低限の薬と、食事の改善と、栄養素の補充＆カウンセリング　

この3つが治療の柱と考えています。

この３つ全てを行うとしたら、費用もそれなりにかかります。
費用は掛かるけれど、3つの治療を同時に受けられた患者さんは、
人生を取り戻し、満足のいく治療効果を得られることが多いのです。

これは人生に対する投資のようなものと言えるでしょうか。

 

かつて、うつ病は、「メランコリー親和型のうつ病」が中心でした。

大切な人を失った、仕事や慣れ親しんだ環境を失なった等をきっかけとして鬱になるタイプです。

 

メランコリー親和型のうつ病の中心には、悲哀感や自責感がありました。

うつ病とは、悲哀、悲しみ、失ったものへの悔やみ、心の痛みであるという定義に変わりはないはずなのです。

 

悲哀や抑うつを体験すると言うことは、非常に苦痛に満ちた、辛い体験です。

ある意味で、高度な精神活動、ということも出来ます。

 

一方、非定型うつ病と言われる患者さんたちの鬱の中心は、無気力感や疲れやすさが中心です。

やる気が出ない、無気力、だるい、疲れやすい、という訴えと、悲哀感とは、根本的に質の違うものです。

悲哀感をかいた無気力状態を、「非定型」うつ病として、うつ病のカテゴリーに分類することは無理があり

非定型「うつ病」と言う名のもとに、抗うつ薬で治療しようとすることは、適切ではない、と考えています。