休職中の患者さんと精神科教授
みゆきクリニックへ通院されていたある患者さん
Jさんは、子どものころから父親がとても厳しく、父との関係に悩んでいました。
大学進学を機に実家を離れ、父とは距離を置いていました。
そんなJさんが就職して異動になった先に、父親にそっくりの威圧的な上司がいました。
毎日上司に怒られているうちに、会社へ行こうとすると吐き気がして、憂うつになるようになり、
みゆきクリニックへ来られました。
Jさんのような方の問題解決には、どうしたら良いでしょうか?
職場を異動してもらって、苦手な上司と離れれば良いのでしょうか?
それも、とりあえずの解決法としては必要ですね。
しかし、威圧的な上司はどこにでもいます。
その度に異動していたのでは大変です。
本質的な解決は、カウンセリングで、心の中の父親との関係を、整理しなおすことです。
Jさんは休職していましたが、会社へ行かなければ、何の症状もなく、問題もなく、
ハッピーに過ごされていましたので、薬は必要ないと判断し、薬は出さずに、カウンセリング中心の治療を始めました。
休職中のJさんに、ある時、会社の産業医の面談がありました。
会社の産業医は、ある大学の精神科の教授です。
精神科教授は、こう言ったそうです。
「みゆきクリニックから、薬が出ていない?
会社を休んでいる患者に薬を出さないなんて、とんでもない医者だ。
そういう医者は信用できない、病院を変わりなさい。私の知り合いの診療所を紹介するから」
会社を休職している=薬の治療 と、その教授は短絡的に考えているようです。
Jさんのような人に薬が必要ではないことも、
この場合に薬はかえって有害であることも、少し考えれば分かることだと思うのですが、
休職中の人の治療=薬
と硬直的に考えている医師は、残念ながら非常に多いのです。
しかしそれが医科大学の教授となると、そのような教授に指導を受ける若い医師や医学生は、
果たしてどうなるのでしょう・・・?
日本のメンタルヘルスの未来が心配です。