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健康になりたければ、お菓子を辞めよう!

[2015.12.07]

スイーツが大流行、手軽に美味しいお菓子が手に入るようになりました。

どなたかのお宅を訪問する時の手土産や、
出張や旅行に行けばご当地名物のお菓子を土産に買って帰り、
子どもたちも、お友達関係を円滑にする手段として、お菓子の交換をしています。

でも、お菓子屋さんには大変申し訳ないのですが、健康や、医療費の増大という見方からすると、
これはとても深刻な大問題です。

昔は砂糖は貴重品でしたので、お菓子は特別なときに食べる、特別なものでした。
人々が砂糖を気軽に手に入れることが出来るようになったのは、近代のことです。
人類と砂糖の付き合いは短く、人の身体は砂糖の処理に慣れていないのです。

菓子類は少ししか食べないから大丈夫と、思っていませんか?
お菓子を例え1つでも日常的に食べれていれば、砂糖を取りすぎていることになります。

甘いものを食べると、幸せな気持ちになりますね。
これは甘いものを食べると急激に血糖値が上昇し、視床下部を刺激します。
視床下部は人が幸福感を感じる中枢ですので、甘いものを食べると視床下部が刺激されて幸せを感じるのですが、
しかしこれは視床下部の誤作動とも言える、危険な満足感です。

菓子や料理に含まれる砂糖を食べて、急激に血糖値が上がると(高血糖)
身体は、今度は血糖を下げようとします。

視床下部は緊急指令の中央管理室にあたる中枢ですので、血糖値を下げるよう、即座に信号が送られ、
インシュリンが分泌されて、血糖値を下げようとします。

しかし、ちょうど良くインスリンが分泌される訳ではなく、たいていの場合、インスリンが出過ぎてしまい、
今度は急激に血糖値が下がりすぎてしまいます。(低血糖)

低血糖は、人の生命の維持に関わる深刻な緊急事態、と身体は捕らえますので
手が震え、冷や汗が出て、何とかして、即座に血糖値を上げようとします。

手が震え、冷や汗が出て・・・と言うほど酷い状態ではなくても、
下がりすぎた血糖値を上げる為に、甘い物が食べたくなりますので、その衝動に従って菓子を食べてしまうと・・・
甘いものを食べる → 高血糖になる → 反応性低血糖になる → 甘い物を食べたくなる・・ 
という悪循環を繰り返すことになります。

この悪循環を繰り返すうちに、やがてインシュリンが枯渇し、糖尿病につながっていきます。

人の身体は自然と神が作った最高傑作と言えるかと思いますが、
しかし自然も神も、はるか遠い昔には、人類の日常的な砂糖の摂取を想定していなかったのです。
砂糖の過剰摂取とインシュリンの関係は、人が期待するほどには精巧に作られていないのです。

長年にわたり砂糖を取りすぎると、糖尿病にかかりやすくなり、
糖尿病になると末梢循環に問題が起こり、腎臓の機能を悪くし、やがて透析が必要となることも少なくありません。

小さい子どものうちから、日常的に甘い菓子を食べる習慣は、
中年期以降、糖尿病、腎臓障害、人工透析へと問題を発展させていくことになりかねないのです。

脳は確かに糖をエネルギー源としていますが、多くの食材に糖質が含まれており、
炭水化物や芋類等からも充分に糖質は取れますので、
通常の食事をしていれば糖が不足することはありません。

脳の為に、あるいは疲れたからと言って、砂糖をあえて摂取する必要はありません。

糖尿病の患者さんが増え、透析治療を受ける方も増える一方ですが、
Ⅱ型糖尿病は、子どもの頃からの食習慣で充分に防ぐことが出来ます。

子どもを病気にしたいと思って毎日子どもに甘いお菓子を食べさせているお母さんはいないと思いますが、
子どもが喜ぶから、と菓子を与え続けることは
将来、子どもの健康を害することにつながります。

今日から早速、お菓子を特別な時だけにするよう、生活習慣を見直しては如何でしょう。

そうは言っても、子どもは、禁止すれば隠れて食べてしまうので、
お菓子を食べないような習慣を身につけるには、ちょっとした工夫も必要でしょう。

8歳になるR子との、ある日のやり取りをご紹介しましょう。

 「R子ね、大人になったら美人になりたいの」
 「もちろん、なれるわよ、誰よりも美人になるよ」
 「どうやったら美人になれるのかなあ」
 「うーん・・・、美人になるには、少しだけ、コツがあるんだ。出来るかな」
 「えー、コツがあるの? やってみる どんな?」
 「それはねえ、お菓子を食べないことなんだ」
 「えー、お菓子を食べなければ美人になれるの?」
 「うん、なれるよ」
 「それだけでいいの?」
 「それだけだよ」
 「じゃあR子、もうお菓子、食べない」

そうはいっても、子どもはすぐにそんなことは忘れて、目の前にお菓子があれば食べたがりますが、
少なくとも無自覚にお菓子を食べ続けるようなことは、避けられるでしょう。

若いうちから砂糖の過剰摂取を避け、お菓子類を食べない習慣を身につけることはとても大切です。
食事に気を付け、定期的な運動を心がけていれば、糖尿病や認知症になるリスクを下げ、健康な老後を迎えることにもつながります。

それだけではありません。
糖分の摂取を控えることは、不安や憂鬱の改善にもとても重要です。

不安や憂鬱の原因は複雑で、簡単には特定できないのですが、
血糖値の急激な上昇と下降が精神症状を増悪させている、という側面も考える必要があります。

血糖値の上がり過ぎと下がり過ぎを小さくするような食事を工夫することで、
不安や憂鬱の症状はある程度和らぎます。

精神科や心療内科に通って治療を受けている方の中に、なかなか症状が良くならないので
薬が増える一方、と言う方がいらっしゃるかと思いますが、
菓子類を食べることを辞めるだけで、症状が少し改善出来ますので、試してみて下さい。

ただし、鬱病のメカニズムは複雑ですので、決して砂糖を辞めればうつ病が良くなる、
などと言っているのではないので、誤解なさらないで頂きたいのですが、

少なくとも甘いものや炭水化物の過剰摂取を辞めるだけで、精神症状は1~2割程度良くなることは充分に考えられます。

残念なことに、血糖値の急激な上昇と低下が、精神症状に影響を与えている
ということを認識しながら治療に当たっている精神科医はまだまだ少ないので、
いま、おかかりの主治医に相談しても、話しが通じないかも知れませんが、

他院に通院中の方で、主治医に相談しないでも、
ご自分で食習慣を改善することは出来ると思いますので、是非試してみて下さい。
そして気分が改善してきたら、主治医に相談して薬を減らしていってもらっては如何でしょう。

食習慣を改善するだけで、不安や憂鬱が幾らかでも改善し、薬を減らすことに繋がります。
とてもリーズナブルな治療法です。
さらに、認知症や糖尿病、癌のリスクまで下げるのですから、二重三重に医療費の削減に貢献することになります。

発達障害や自閉症スペクトラムと言われている子どもさんの中に、
お菓子や砂糖が原因で、キレやすかったり癇癪を起こしやすくなっているお子さんもいます。
子どものおやつに菓子を与えることを辞めてみましょう。
それだけで、ある程度、キレやすさが改善出来る可能性があります。

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