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もっと学会を

[2011.05.09]

震災後、多くの学会が中止あるいは延期となる中

精神分析的な精神療法家だけで構成される小さな学会が開かれました。

この学術会議は入会審査が余りに厳しい為、入会希望の問い合わせがあっても、

余りの基準の高さに多くの人が入会を断念してしまうので、

会員数が50名を越えたことのない小さな学会ですが、

それだけに他の学会に比べて議論の質が高いので、毎回参加しています。

 

 

多くの学会が中止となる中、会議が開かれたことを、

参加者たちは心から喜んでいました。

皆、自分たちの専門の領域で、専門用語が通じる仲間と、心おきなく

震災のことを語り合いたかったのです。

 

これはどの分野の方も同じでしょう。

皆自分たちの知識を、被災された方々や復興の為に役立てたいと思っているのです。

自分たちに何が出来るのか、話し合う場を求めているのです。

学会や研究会が少しずつ再開し始めていますが、

こんなに学会が待ち遠しかったことは、かつてなかったほどです。

自粛は辞めて、学会、もっと開いてほしいです・・・。

 


大きな会議場が避難所になっていたり、殆どの外国人研究者が来日を中止したことで

国際会議も殆ど中止になっていましたが、そんな中、

まだ余震の続く3月、ある国際会議が規模を縮小して開かれました。

 

私は専門分野が違う為参加していませんでしたが、

その会議に出席した友人から聞いたところでは、

ヨーロッパの高名な医師が特別講演をする予定になっていたそうですが、

その医師は来日に当たり、勤務する大学から日本行きを辞めるよう強く圧力をかけられ、

厚生省からも行くなと言われ、外務省も強く反対し、どうしても行くと言うなら

不測の事態が起こっても外務省は協力出来ないとまで言われ、

ありとあらゆる方向から、非常に強く日本への渡航中止を迫られたそうです。

 

周囲の猛反対をおして来日したその医師は、日本人のかつてのお弟子さんたちと再会し、

日本で見事な講演をし、無事帰国したということでした。


 

こういう人を師に持った研究者は、本当に幸運ですね。

どんなに優れた才能も、師に恵まれなければ開花しません。

学問も芸術も、優れた指導者と恵まれた才能の幸運な出会いから

生まれるものなのでしょう。

 


それにしても、日本の外務省には海外へ向けて、日本の現状を正確に情報を開示し、

余震は続くものの多くの日本人は普段通りの生活を送っており、

安全に都市が機能していることを発信し続けてほしいものです。


海外では日本人は総難民化するのではないかとまで思われていたのですから。


 


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