早くに両親を亡くした女の子のその後
この知の巨人とも言える女性は、私の恩師の小此木啓吾先生と親交がありましたので、
私も国際会議の席で何度かお会いし、日本に来日した時には、当時私が名古屋で主催していた
セミナーにも快く講演に来て下さいました。
彼女には二人の息子さんがいますが、お孫さんもまた男の子ばかりだそうで、
私に「あなたの様な娘がいたら良かったわ」と言って下さって、気軽に接して下さいます。
国際学会場に彼女が現れると、皆が賞賛の眼差しで敬意を現す様子が見て取れます。
ある時、ヨーロッパで開かれた国際会議のパーテイで、
高齢の彼女に私が 料理や飲み物を持って行ったりしてあれこれとなく世話をしている様子を見ていた
ある男性が近づいて来て、私に話しかけてきました。
「どうしてあなたは、アニー・バーグマンとそんなに親しいのか」
「私はA国の精神分析学会会長をしているBと言う者だが、是非アニー・バーグマンと
直接話をしてみたいので、紹介してくれないか」
B氏とは初対面でしたので、初対面の人を紹介するのも変だなあと思いつつも、
言われた通りに紹介してあげたのです。と言っても、「こちらA国会長のドクターBです」
と言っただけですが・・・。後から
「あなたのお陰で偉大な分析家と話をすることが出来た」と大変喜ばれました。
お金もツテも何も持たずに単身アメリカに渡った女の子は、世界中の学会会長たちですら
敬意と憧れをもって見上げる存在にまでなったのでした。
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