EBM 精神分析的精神療法と分子整合医学
EBMが医学の主流になりつつあった頃、
私は内心、これは医療従事者の思考過程を限弱させかねないと本気で心配していましたが、
残念なことにそれが現実のこととなりつつあるようです。
地域医療が崩壊しつつあることの原因は様々で、
簡単には論じられないことですので、ここでは踏み込みませんが、
EBMに従っていれば良い、そうすれば個人の責任は回避できる、という安全志向は、
人の思考を麻痺させ、創造的なことに挑戦しようという勇気を損ないかねません。
EBMは、先にも述べた診断基準と同じ問題を内包していると思えてならないのです。
多数決、数による論理は、時に愚衆政治を招く恐れがあることからも明らかなように、
優れた結果を招くとは限りません。
愚衆政治とは、古代ギリシャの時代、
多数決で物事を決めていたところからくる政治的誤りのことで、
例えば、
市民による投票で、哲学者ソクラテスの死刑が決められてしまった様な例を指します。
市民たちは、自分たちがどれほど愚かなことをしようとしているのか理解しないまま、
圧倒的多数でソクラテスに死刑を宣告し、ソクラテスは服毒による刑に処せられました。
EBMの重要性を承知のうえで言いますが
それだけに判断を頼り過ぎると、医師も愚衆政治のような愚かな判断をしてしまいかねません。