メニュー

街で見かけた発達障害 スペイン編

[2012.01.16]

今回は、発達障害の逆パターンのお話です。


日本人は、電話をかけながら電卓を叩く等、同時に二つのことをするのは朝飯前・・・

それが出来ないと日本の会社では「使えない奴」と言われてしまいます。


しかし、同時に二つのことが出来るのは、ほぼ日本人だけ、と考えて良いでしょう。


欧米先進国でも、アジアの国々でも、かなりのエリート層の人たちは同時に二つ

以上のことを難なくこしますが、だからこそ彼等はエリートでいられるのです。


エリート層以外の人で同時に二つ以上のことをこなせる人は、滅多にいません。


例えば、スーパーで買い物をしてレジに並んだとします。

レジ係が計算をしている途中に、上司が彼に何か聞いたとします。

レジ係はそこで一旦手を止める訳ですが、上司が立ち去った後、

レジ係は途中から計算を再開すると言う、日本人なら当たり前に思えることが出来ずに、

振り出しに戻って一から計算し直すことになります。



ですので、私はヨーロッパで買い物をするときに、計算をしている店員さんには、

計算が終わって最終的な金額が出そろうまで、決して話しかけないことにしています。

途中で「あ、ついでに色違いで白いのも頂けます?」「カードは使えるかしら?」

なんて話しかけようものなら、すべてがご破算になって、また一からやり直さなければ

ならなくなり、待たされる時間が長くなるだけだということを知っているからです。



ある日、私はスペインのバルセロナで買い物をしていました。

日本の靴は幅広・甲高の靴ばかりで、幅狭・甲低の靴は殆ど手に入らないので、

ヨーロッパに行った時に靴をまとめ買いすることにしています。


その時も自分のサイズに合う靴を出して貰い、この靴と同じものを色違いで、

等々、あれこれ買い物をしていました。

勿論、例にならって、店員に何かを頼んだら、店員がそれをやり終えるまでは、

余計なことを話しかけずに待つことにして・・・。


しかしその店員は次々手際よく品物を出してきて、途中で私に他に用はないか、

こんなものもあるけど、どう?などと、あれこれ話しかけてきては、

更には途中で電話にすら出て、きちんとメモも取り、

電話を切ったら即座に計算に戻り、あっと言う間に集計をして、私は殆ど待たされる

ことなく、手際良く美しく包装された品物は私の手に渡されました。


日本では当たり前の光景ですが、ヨーロッパでは非常に珍しいことです。


これにはとても驚いて、その店員に話しかけました。


「あなたって、まるで日本人みたいね」

店員には意味が通じたのでしょう。あははは・・・と笑いながら

「私はカタルーニャ人だから」と・・・。

「カタルーニャの人は、あなたの様に、同時に複数のことが出来るの?」

「皆そうよ、カタルーニャ人にとっては普通のことよ。」



スペインの北部、カタルーニャは多くの天才を輩出したことで知られています。

ピカソ、ダリ、ガウデイ、カザルス等々、皆カタルーニャの出身です。



カタルーニャ人がどこから来たのかは謎だそうですが、

彼等はもしかしたら、日本人と同じルーツを持っているのかも知れませんね・・・。



日本人やカタルーニャ人が同時に複数のことをこなすことが出来るのは、世界的に

見ても特異的なことだと思われますが、バルセロナの靴屋の店員とのやり取りは、

改めてこれが特異的なことであるということを、実感させられた出来事でした。


しかしながら・・・


皆が当たり前のように周囲の空気を読んで、他者に配慮しながら、同時に複数のこと

をこなすことを要求される社会で適応しようとすると、

発達障害の人にとって、これはなかなか難しい問題です。

発達障害の人にとっては、同時に二つのことをこなすのは、とても難しい・・・。


一つのことをやり終えるまでは次のことをしない、というやり方の方が、

発達障害の人には馴染みやすいと言えるかも知れません・・・。



レジや飲食店で、もたついて気のきかない店員さんがいたら、一呼吸置いて

待ってあげてみては、如何でしょう・・・?。

-----
▲ ページのトップに戻る

Close

HOME