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診断基準の問題(2)うつ病は診断されすぎている・・・?

[2024.10.06]

うつ病が増えている背景

かつては精神科と言うと偏見に満ちた目で見られがちでしたが、
最近では、心療内科、メンタルヘルス科等と親しみやすい名称で呼ばれるようになり、
精神科の敷居が低くなり、誰でも気軽に受診出来るようになったことは大変喜ばしいことですが・・・

本当は精神疾患ではない方も、気楽にメンタル科・心療内科を受診出来る様になり、
時に過剰な診断を受け、必要のない投薬治療を受けることになりかねないことが、
問題だと考えています。

正しくない診断のもとに、必要のない投薬治療を受け、
最悪の場合、改善が見込めないまま休職や休学を余儀なくされることも起こり得るとしたら・・・

本人にとっても、家族にとっても、日本の将来にとっても、深刻な問題です。

うつ病は増えていない?

私はうつ病がそれほど増えているとは考えていません。


うつ状態や無気力状態になる人は確かにものすごく増えていますが、
本来のうつ病の原因以外の理由で、無気力状態に陥っている人が増えている、と考えています。

それはどういうことでしょう・・・?


2000年前後頃から、

余りに精神病理学の概念からかけ離れた病態の若い患者さんが増えているという印象を持っていました。


精神科医が何人か集まると「最近は診断の難しい患者さんが増えた」
とよく言っていましたし、当時の大学教授達も、疑問を感じていると話していました。

いろいろな大学の精神科教授に会うたびに、
「最近、精神病理学で説明できない患者さんが増えているのを、どう思いますか」
と質問して歩いていましたが、

教授たちの共通の答えは、「俺にもさっぱり分からん」というものでした。

今なら、答えが分かります。
精神病理学で診断出来ないのは、むしろ当然だと思っています。

生化学的なアンバランスが原因で、憂鬱や無気力状態に陥っている患者さんが、増えているのです。


うつ病と、栄養素の不足から起こる無気力状態と、表に現れる症状はそっくり同じなので、
うつ病に見えてしまう患者さんが増えているのです。

症状だけを診て判断すると、間違えてしまうのです。

疾病特異性からいって10年単位で疾病の構造が変わるとか、
新しいタイプの精神疾患が急激に増えると言うことは、疫学的にもありえません。

 

精神疾患の文化差は低い

私の理解が間違っていなければ、精神疾患というものは、あらゆる文化圏において発病率に差が無い、いうことが前提ですので、
発症率に大きな差があるとしたら、文化の影響を受けやすい疾患の可能性を考えなければなりません。

鬱のパターン

憂鬱や無気力などの精神の不調を訴える患者さんたちの多くは、

  1. 本当にうつ病にかかっていて、憂鬱な状態に陥っている場合
  2. 栄養障害や神経疾患等の、精神疾患以外の理由で憂鬱になっている場合
  3. 職場や学校への不適応などの、ストレス関連による場合
  4. パーソナリテイに偏りがあって、抑鬱で反応している場合

の4つに分けられると考えています。

精神病理学に合致しない患者さんが増えているのは、栄養障害タイプのウツが増えているからと考えています。

言うまでもないことですが、ウツや無気力の原因は栄養障害だけで説明できるものではありません。


もしウツ病の原因は栄養障害や血糖コントロールの悪さにあると決めつけてしまったら、
これもまた一方的な見方だと言えるでしょう。

過重労働や過重負荷による、ストレス関連による鬱も増えています。まるで人が機械の様に働かされているのです。

 

症状だけでは診断出来ない

最も難しい問題は、憂鬱を訴える患者さんに対して「うつ病ではない」と判断することす。

精神病理学の知見を持って精神疾患の診断をし、
精神分析的・力動的理解を持って臨床にあたり、
分子整合医学の知見を持って栄養障害を治療していく、


という複数の分野にまたがる知識と眼視的な見方や判断が要求される領域です

増えている栄養障害タイプ

朝起き上がれない、人に会うのも面倒、何をするのも億劫、
家から出らなくなり、学校にも仕事にも行けず、自分からうつ病ではないかと思って、
精神科・心療内科を受診される人が増えています。

これはうつ病なのか、栄養障害なのか、
うつの症状の揃っている人を、うつ病ではないと判断するには、詳しく病歴を聞く必要があります。

うつ病ではないと積極的に判断するのは、簡単そうに思えるかも知れませんが、
実はとても難しく、精神分析的・力動的なパーソナリテイ理解が非常に役に立ちます。

忙しいと、睡眠や食事がおろそかになりがちですが、
増えている栄養障害タイプのウツは、カップ麺や菓子パンなどの、
簡単に食べられるものばかりを食べていることから起こっている場合が多いです。

栄養障害タイプのウツの方には、食事の改善を指導し、
経済的に余裕があれば、どの栄養素が不足しているのかを調べ、栄養素の補充をします。

 

栄養障害タイプのウツに薬は役にたたない

栄養素の働きを理解せずに診断すると、
(残念なことにまだまだ、理解していない医師が多いのが現状です)
恐らく、世界中の医師のほとんどが、憂鬱を訴える患者さんを「鬱病」と診断し、抗鬱薬を処方してしまうでしょう。


しかし服薬をしても症状がなかなか改善しないので、長期にわたり抗鬱薬を飲み続けることになり、
改善しないまま長いこと休学や休職を余儀なくされるかも知れません。

これは本当に不幸なことです。

 

医療経済学から見ても、栄養障害タイプのウツを、うつ病として診断してしまい、抗うつ薬を処方すると、
栄養療法を行うよりも、何倍もの医療費がかかります。

 

若い人の無気力の原因が、全て栄養障害にあると言っているのではありません。
もし本当に鬱病になった場合には、迷わずお薬を飲むことをお勧めします。

 

ストレス関連の鬱

過重労働による、ストレス関連の患者さんも増えています。

過重なストレスがかかっている場合には、ひとまずそこから離れる必要があります。
また、過重労働でストレスを感じている方は、食事もいい加減になりがちで、二重三重に問題を抱えています。

 

これらを、一つひとつ解決し、ストレス耐性を改善していく必要があります。

学校での過剰な同調圧力等から不適応を起こす子どもさんも増えています。

環境調整や、生活の見直しなど、薬以外の対応が必要になります。

 

人生が変わる治療

どのように診断し、どのような治療を受けるかで、人生が変わります。

病を得たことは不幸かも知れませんが、
治療を受けることで、これからの未来の人生をより良いものに転換するきっかけにすることはできると信じています。

本当に自分の人生を良くしたい、と思う方の、力になりたいと思います。

良識あるメンタル医療

私が常に心がけている、良識ある医療の本来あるべき姿とは、無用な治療や投薬を避け、
患者さんの人生に必要な、最低限の治療を提供することだと考えています。

 

 

品川心療内科みゆきクリニック | 品川駅近くの心療内科・精神科 うつ病 不眠症 女性医師による治療

 

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