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新型うつ病 Hさん

[2024.10.05]

20歳の大学生Hさんは、元々社交的で明るい方でした。

大学に入学して暫くたった頃から、次第に気分が塞ぎこむようになり、
夜眠れない、昼間眠い、学校へ行くことも、人に会うことも億劫になり、サークル活動はこなせていましたが、


朝起きて学校へいくことがどうしても出来ず、

ネットで調べたところ「うつ病の疑いが強いので早く精神科を受診するように」と出てきて、
うつ病であることを覚悟し、休学をするつもりでみゆきクリニックを受診されました。

初診の日、お話を伺ってみると、確かにうつ状態にあり、若い人に増えていると言われている、
いわゆる「新型うつ病」の特徴をすべて備えていました。

しかし、私は「新型うつ病」などという鬱病は存在しない、と考えています。

そこで更に詳しくお話を伺うことにしました。

この方は勉強にもサークル活動にも積極的で、毎日とても忙しくしていらして、親元を離れて一人暮らしだったのですが、

忙しいために食事を作る時間を惜しんで、毎日菓子パンやカップ麺で食事を済ませていたということでした。

さっそく血液検査をしてみますと、検査結果は全て基準値内にありましたが、
オーソモレキュラー療法:分子整合医学の理解を応用して詳しく読み解いていくと、

栄養状態にいろいろ問題があることが分りました。

 

症状は、最近の若い人に増えていると言われる「新型うつ病」の症状を呈していましたが、

しかしHさんはうつ病ではない、と判断しました。


うつ病でないのなら、何だと判断したのでしょうか?


栄養障害です。

Hさんには、うつ病ではないことをお伝えし、栄養障害が考えられることを説明し、

薬は必要ないこと、

食事の改善とビタミンやミネラルの栄養素の補充をお勧めし、

おそらく1~2か月程度で改善するだろうから休学の必要もないだろうと話しました。

 

丁度、大学が夏休みの時期だったこともあり、休みの間、ご実家の親元で過ごして頂くことにしたところ、


お母様がとても頑張って下さって、Hさんは毎日お母様と一緒に料理を作るようになり、
一人暮らしの下宿に戻っても簡単に作れそうな料理をたくさん教えてもらっていました。


この母娘の時間も、治療的にとても大きな意味があったと思います。

食事を改善すると同時に、その間も栄養素の補充は続けて頂きました。


やがてHさんは見違えるように回復され、元来の明るく社交的なHさんを取り戻し、休学せずに、大学へ復帰されました。

治療は食事指導と栄養素の補充だけで、薬は処方していません。
大学も休学しませんでした。


通院期間も2カ月間だけで、完治しました。

再発もありません。

 

もしHさんをうつ病と診断(誤診)して、薬での治療をしていたら、どうなっていたでしょう。

薬で良くなる問題ではないので、薬を飲んで改善するはずがないのですが、
残念なことに、症状が改善しないと薬を増やしてしまいがちな医師も多く、

眠れないから睡眠薬も出され、それでも改善しないので長く休学をする、ということになっていたかも知れません。

そうなったら、Hさんの将来は、全然違ったものになっていたかも知れないのです。

 

Hさんはとても美しく聡明な、将来の楽しみなお嬢さんです。
御両親にとっても自慢の娘さんでしょう。

きっと将来日本の役にたってくれるような大人になってくれると思えるような若者です。

その若い才能を、無用な投薬で損なうようなことはあってはならないと、医師としての良心として、心から思います。

Hさんの様に、うつ病の診断基準を全て満たしているような方を
積極的にうつ病ではないと診断するには、力動的なパーソナリテイ評価の理解が必要です。


そして治療には、オーソモレキュラー療法::分子整合医学的な理解が必要です。

力動論と、分子整合医学の両方の視点を持つ医師は、世界的に見ても殆どいないそうです。


オーソモレキュラー療法:分子整合医学の創設者の一人であるカリスマ医師 故エイブラム・ホッファー医師の息子さんに
お会いしたことがありますが、力動論と分子整合医学の両方が出来る医師には、塙以外には会ったことが無い、
と仰っておられました。

しかし、この2つの視点を持って臨床にあたることには、限りない可能性があると考えています。


精神分析的な力動論も、オーソモレキュラー医学も、いずれも医学の傍流です。

傍流を2つも学ぼう、などという医師は、この先、現れないかも知れません。

収益に繋がれば、学ぶ人も増えるかも知れませんが、たくさんの時間とお金をかけて学んで、その結果、
収入には繋がりにくいとなると、広がりにくいのだろうなあ、と寂しさも感じています。

少なくとも
世の中に喧伝されているものが、つまりマーケティングがうまくいって成功したかに見えるものが、
必ずしも良いものとは限らない、ということだけは、知っておいて頂きたいと思います。

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