流暢な会話は重要か・・・?
[2011.01.20]
患者さんの話を聞いていると、今の日本の企業の多くが
コミュニケーション能力を重視しており、コミュニケーション能力=流暢に会話をすること
と解されている様な印象を受けます。
立て板に水のように話すことはそれほど重要でしょうか。
今から数十年ほど前、ヨーロッパにいたユダヤ人の精神分析医の多くは、
ナチスドイツの迫害を逃れて、アメリカへ亡命しました。
多くの大学や研究機関が、亡命ユダヤ人の精神科医を受け入れ、
1930年代から60年代頃にかけて、アメリカは精神分析の黄金期を迎えます。
亡命ユダヤ人たちの多くは英語を母国語としていませんでしたので、
決して英語が上手だった訳ではなく、苦手な外国語である英語で臨床や講義を
行っていたことになります。
朴訥とした、流暢ではない言語であっても、誠実な人柄が伝わって、十分に臨床が行えた、
むしろそれが臨床に生かされさえしていた、ということを伝え聞きます。
立て板に水のように中身のないことを話す人より、
朴訥としても誠意のある態度がにじみ出る人の方が余程信頼出来ると思うのですが、
そういうことは日本の社会では評価されにくくなってしまったのでしょうか。
だとしたら、とても残念なことです。
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