至福のレストランと数十年後のグランシェフ 子供カウンセリング
フランスで60年近くにわたって三ツ星を維持している、レストラン・トロワグロのドキュメンタリー映画が公開されています。
トロワグロ親子の打ち合わせに始まり、厨房の様子、サービススタッフのミーティング等々、
トロワグロの日常が4時間にわたって写し出されるドキュメント映画です。
フランス料理やワインに詳しくない方にとっては何のことかさっぱり意味が分からないかも知れませんが、
私は本当に灌漑深く、この映画を観てきました。
私とトロワグロファミリーとの出会いは、2000年頃だったか・・・。
当時ロアンヌ(リヨンから南に80㎞程の小さな町)の駅前にあったトロワグロを始めて訪問した時のことです。
当時の出会いについては、2015年のブログ記事「数十年後のグランシェフ」に書きました。
ブログのサイトを引っ越した関係で、ブログ記事は2015年になっていますが、
実際にこの記事を書いたのは2005年頃だったかと思います。
記事の中で、「レストランT」とあるのは、「レストラン・トロワグロ」のことです。
伝統あるグランメゾンの多くは、腕の良い料理人を外からスカウトしてきて、格式と味を保ち、三ツ星を維持していきます。
三ツ星を維持するには、伝統を保ちつつも、誰も見たことのない様な革新的な挑戦を常にし続けなければならず、
同じ料理人だとマンネリ化してしまうこともあり、料理人が数年で交代することも珍しくはありません。
トロワグロの凄いところは、家族経営だけで、親から子への伝承だけで、60年近くにわたり三ツ星を維持していることです。
こんな家族は、他にありません。
息子が料理人になりたくないと言ったら、あるいは息子に料理の才能がなかったら、
家族だけで維持することは実現不可能になってしまうからです。
映画の中でミシェルが、「幼いころから両親(父はピエールトロワグロ)が楽しそうに働いている姿を見て育った。
一度も親から仕事の愚痴を聞いたことがない、自分も自然に料理の道に進んだ」と語っているあたりに、
トロワグロファミリーの凄さの秘密があるのでしょう。
初めて会った時、まだ中学生だったS君、セザールが、映画の中で、本当に素晴らしい創造的な料理人に成長し、
父ミシェルも安心して息子に多くを任せ、徐々にトロワグロの主役を息子に受け渡していく様子も描かれていて、
父と息子のある種の理想的な関係性、世代間伝承の物語としても、見ごたえのあるものでした。
数十年後のグランシェフ の記事の最後には、次のように書かれています。
「数十年後、いつかS君がレストランTのオーナーシェフとなった日に、再びレストランTを訪れ、S君の料理を堪能する日が来ることを、今から密かに楽しみにしています。」
あの小さかったセザールが、長きにわたって三ツ星を維持していく重圧に耐えつつも、
こんなに立派な料理人に成長していたなんて、想像以上のことでした。
「ああ、子供も生まれたのね、女の子? セザール、パパになったのね。」
そんなことを思いながら、20年の時を超えて、私のひとつの夢が叶った思いで、感慨深く、映画を観ていました。
夢って、叶うんだなあ。
そう、ウーシエのトロワグロに、また行かなくちゃ。
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